ダウン症のある子どもの口腔細菌叢に関する論文がBMC Oral Healthに掲載されました

2023年06月29日

ダウン症候群は21番目の常染色体が3本あることが特徴で、様々な健康上の問題を引き起こすことが知られています。口腔領域においては歯や舌に特徴的な形態がみられることが多く、高い頻度で歯周病の早期発症や重症化を引き起こすことが報告されています。
歯周病の発症要因のひとつは、口腔細菌叢です。健康な口腔内では、さまざまな種類の細菌がバランス良く存在し、口腔組織を健全に保っています。しかしながら、そのバランスが崩れると、歯周病発症リスクが高まると考えられています。
ダウン症候群における口腔細菌叢を調査した研究の報告例は少なく、その理解も十分なものではありません。そこで当財団ではダウン症候群の口腔細菌叢の特徴を明らかにし、口腔健康管理における新たな知見を提供することを目的に調査を行いました。

本研究では都内在住の1歳から13歳までのダウン症のある子ども27名と、比較対照として同年齢のダウン症を持たない子ども27名が調査対象者として登録されました。対象者から唾液を採取し、次世代シークエンサーを用いて口腔細菌由来のDNAを読み取り、その細菌叢を比較しました。
その結果、口腔細菌叢の多様性(存在する細菌種の数など)はダウン症群と対照群の間に有意な差は認められませんでしたが、構成している細菌は有意に異なっていることが分かりました。さらに、対象者を乳歯列期と混合歯列期に分けて解析すると、対象者の年齢が上がるほどその差は大きくなることが分かりました。質問紙調査等による口腔衛生習慣はダウン症群と対照群との間に差が認められなかったことから、これらの細菌叢の違いはダウン症候群に特徴的なものであることが示唆されました。本研究の成果は、ダウン症のある人の歯周病の改善やその予防戦略の開発に繋がることが期待されます。

以上の調査研究に関する論文がBMC Oral Healthに「Salivary microbiome in children with Down syndrome: a case-control study」というタイトルで掲載されました。
当財団では今後も口腔細菌叢に関する研究を継続し、予防歯科に役立つ情報発信に努めて参ります。